--はじめに、自己紹介をお願いします。
Vuyo 以下 [ V ] : 僕の名前はVuyo。
Innocent 以下 [ I ] : 僕はInnocent。
Justice 以下 [ J ] : 僕はJustice。
ISDY:3人でI SEE A DIFFERENT YOUというユニットを組んでいるよ。
--いつから写真を撮り始めましたか?
[ V ] : 幼い頃から、実際に写真を撮る代わりに自分たちの頭の中で写真を撮影していたんだ。現在行なっているような活動は、2011年頃からスタートしたよ。
--3人が出会ったきっかけと、I SEE A DIFFERENT YOU結成のきっかけを教えてください。
[ I ] : Justiceと僕が12、13歳で、Vuyoが9歳ぐらいの時に教会で出会った。それから3人でずっと一緒にいる。兄弟のような存在で、今でも毎日のように会っているよ。だから、その頃からトリオを結成していたと言えるね。2011年に3人の活動名を決めてからは、各々のテーマや作品をシェアしながら制作に取り組んでいるよ。
--作品が出来上がるまでの流れを教えてください。
[ V ] : 正直なところ、一度たりとも容易く制作できたことはないね。シューティングへ出かける際は、ロケ地やその場所で起きていることを伝えるために、ロケーションやシチュエーションと常に関わりを持つように努力している。それに、毎日写真を撮るようにしているよ。ボクシングの試合みたいなもので、これぞという写真が撮れるまで何度も立ち向かうんだ。ストーリーを伝えることは本当に難しくて、むしろ良い写真が撮れずに帰ってくることの方が多い。だからこそ、収穫を得て帰ってきた時には大きな意味が得られたということなんだ。
--パノラマにこだわる理由は何ですか?
[ I ] : ファッションやポージングだけでなく、鑑賞者により多くの情報を得てもらいたいからパノラマを選んでいるよ。制作において重視しているポイントや背景となる場所、そして環境のフィーリングを正確に伝えられるからね。だから、僕らが掲げているコンセプトにおいては、パノラマの方が多くを伝えられるんだ。
--作品を通して伝えたいことは何ですか?
[ J ] : どんなにネガティヴな見方をされる物事にも必ずポジティヴな点が存在する、というのが僕らのメッセージ。だから、向上心のあるストーリーにはとりわけ関心を抱いているんだ。例えば、僕たちが取り組んでいるのは、ネガティヴなイメージを持つソウェトにフォーカスを当てること。幼い頃からソウェトで育ってきてフェアじゃないと感じるのは、外部の人間がソウェトについて語ろうとしてくるということだね。だからソウェトで撮影する際には、僕らが見ている“ソウェト”を人々に紹介したいと思いながら制作しているよ。それこそ間違いなく真のソウェトだからね。Googleで検索して出てくるのは飢餓に苦しむ子供たちや荒廃した家ばかりで、その他の情報は何も出てこない。僕らは、鑑賞者が見て経験したいと思えるような場所を見せていきたいんだ。作品を通じてメッセージを感じてもらうと同時に、文化や伝統を記録に留めておきたいね。
--今回STUDIO AFRICAに起用された感想は?
[ V ] : 起用された理由はわからないけれど、南アフリカにいたと思った次の瞬間に日本へ来て、素敵な人々と時間を共にしている。僕らが伝えようとしているメッセージにDIESELとEDUNが賛同してくれ、さらに後押ししてくれることは、言葉が見つからないほどハッピーで素晴らしい経験だよ。
[ I ] : 自分たちが信じているアートやメッセージを支援してくれて本当に嬉しく思っている。これほどまでに実りのある経験は初めてだから心から感謝しているんだ。日本にたくさんのオーディエンスがいることを知ったし、言葉を超えてコミュニケーションを取ることができた。そして、広く大きなプラットフォームを開くことができたと確信している。この機会に僕らのメッセージ、ソウェト、そして南アフリカについて紹介することができて、これ以上に幸せなことはないと感じているよ。
--DIESEL+EDUNについてどう思いますか?
[ J ] : 素晴らしいプロジェクトだね。アフリカは地味なイメージを持たれているけれど、DIESELやEDUNのような信頼のおけるブランドがアフリカ向上のために、アフリカ生まれの高品質ブランドを展開するという大胆な決断をしてくれたのだからね。それに、このプロジェクトは困窮している国々に力を与えてくれた。彼らは強みを活かした戦略のリーダーだと思うよ。彼らのようなブランドが行動を起こすことで他へも影響が及び、今後アフリカと共に働いてくれるブランドが出てくる可能性を切り開いてくれたんじゃないかな。誰もしなかったことを成し遂げたのだから、本当に感心しているんだ。
--尊敬するアーティストや写真家を教えてください。
[ V ] : 多すぎて難しいけれど、挙げるとしたらAlf KhumaloやPeter Makhumalo、Roger Farringtonかな。Roger Farringtonとは実際に会う機会があって、彼はとても親切にしてくれた。それと、DIESEL+EDUNプロジェクトでセネガルを撮影したAlastair McKimmも尊敬しているよ。
[ I ] : セネガルでは彼が撮影する様子や、実際にやり方なんかを見てすごいと思った。好きなフォトグラファーはたくさんいるけれど、僕らはフォトグラファーからだけでなく、広い範囲でインスピレーションを得ている。
[ J ] : 例えば、音楽で言うとBusi Mhlongoかな。他の人とは一線を画して、オリジナルの表現を生み出している人たちにより関心を抱いているんだ。
--インスピレーションはどこから得ていますか?
[ I ] : 僕たちがいる環境からインスピレーションを得ているよ。主に、その地で育った年配の人たちや僕らの家族、祖先、友人、そしてソウェトという街からも。幼少期の経験からは特にインスパイアされているんだ。子供の頃は無垢で全てが目新しい。そういう意味で、子供時代の経験は全部が違った経験なんじゃないかな。僕らはちっとも裕福ではない家庭で育ったけど、遊んでいるときは全ての遊びが楽しかった。裕福な家庭で育った子と同じようにハッピーなんだよ。だから撮影に出かける時は、そうした子供の頃の視点を活かしているんだ。昔はスケートボードに乗ったり、50キロほどの道のりを歩いたりもしていたから、その道中でスケートや他のことができる場所を見つけた時は、僕らの目にとても新鮮に映ったんだ。だから、常にフレッシュな気持ちを持ち続けたいし、こうした経験が作品制作におけるアプローチに影響しているよ。
--拠点であるソウェトについて教えてください。
[ V ] : 第一に、僕はソウェトが大好きだよ。ソウェトは南アフリカの中で最も古いタウンシップで、恐らく世界一規模が大きいんじゃないかな。だから、ズールー族やコーサ族などあらゆる民族グループが存在し、さまざまな人たちが混在した中で文化が育まれている。僕らにとってソウェトは、育つ環境としてベストな場所だったと思っているんだ。家族もいるし、ソウェトにはたくさんのことを教えてもらったからね。
--とてもスタイリッシュですが、ファッションにはどういったこだわりがありますか?
[ I ] : 特にルールは設けていないけれど、着る服全てにひねりを効かせるように心がけているよ。そして、スタイリッシュか一般的すぎるか、もしくは少なくとも普通の人たちが着る服と違いが出ているかをVuyoにチェックしてもらうんだ。これが毎回行なっているアプローチ方法だね。今日だって表に出る時にはVuyoが工夫を加え、3人でお互いにチェックしてきたよ。とにかく普通にはならないようにしているんだ。
[ V ] : それが3人で共有している美意識だね。
--東京についてどう思いますか?
[ V ] : 東京は美しくて驚いているよ。少し見て回っただけでこんなにもたくさん美しい人たちがいるなんて信じられないね。この街が気に入ったし、こんな場所があるなんて思いもしなかった。住みたいと思うぐらいだね。
[ I ] : ちょっと道を歩いただけで何人も飛び抜けてスタイリッシュな人を見かけるほど、東京はオシャレな街だね。慣れていないから本当に衝撃を受けているんだ。DIESELのストアだって家具やカフェがあって、僕らにとっては本当に新鮮なんだ。そして人々がほんとうに美しいよ。
[ J ] : どの人もひねりを効かせたスタイルを持っているから驚いているんだ。誰一人として単純ではない。標準的なオシャレは誰にでもできるけれど、東京は普通じゃないね。
--今後のプロジェクトについて教えてください。
[ J ]:映画のプロジェクトを進めているよ。短編にするかドキュメンタリーにするかを検討中で、どちらかというと短編映画により興味が傾いている。僕らが持っているアイデアを基に内容をまとめ始めているけど、日程通りに準備できるかどうかまだわからないんだ。新しい取り組みだけど、作品の方向性には満足しているよ。それと同時に、音楽のプロジェクトも進行している。
[ V ]:音楽はこれまでVimeoでアップしてきたのだけど、多くの人々から楽曲が欲しいというメールをもらった。だから上手くいく予感がするんだ。まだ確かではないけれど、今のところ好評を得ているからね。
--これから展覧会を鑑賞する人々にメッセージをお願いします。
[ V ] :僕らの展覧会に足を運んで、作品を見に来てくれて本当にありがとう。
[ I ] : 時間を割いて写真を見に来てくれて感謝しているよ。
[ J ] : 展覧会の機会を与えてもらったことで僕らの伝統や文化を紹介し、共有できたことに心から感謝している。