--はじめに、自己紹介をお願いします。
私の名前はサラ・イレンベルガー。ベルリンに住むイラストレーター、デザイナーです。
--今回の展覧会のコンセプト、おすすめのポイントを教えて下さい。
展覧会のコンセプトは私の作品を幅広く見てもらうことでした。少数しか販売していないプリント・エディションと一緒に、オリジナルのアートワークも展示されています。インスタレーションのポップコーンは展示会場で作ったものですが、合羽橋に足を運んだことでアイデアを得たものです。フリースタイルで作ったオリガミ・ポップコーンを制作して、25個のポップコーンバケツに詰めました。
--今回、Miho Kinomuraと仕事をしていかがでしたか?
Mihoさんと一緒にお仕事出来て良かったです。彼女が日本人ということで、日本の観客はどういった作品が見たいのかという彼女の視点を信頼して良かったです。膨大なメールのやり取りがありましたが、かなり早く要点をつかむことが出来ました。
--どのようにしてアートに興味を持ちましたか? またアーティストになろうと思った決め手は何ですか?
小さい頃からアートに興味がありました。手作りの物を作るのがいつも好きだったんです。ギリシャのストリートで私が最初に作ったコラージュ作品を売りました。ロンドンでデザインの勉強をしたのですが、自分が得意な分野はイラストレーションだと気付いたのです。それから夢中になり、 "ストレンジ・フルーツ" シリーズとといった自ら始めたプロジェクトに取り掛かるようになりました。
--ユニークなアイデアはいつどんな時にひらめきますか?
それについて考えてない時です。多くのアイデアは、私が何か別のものを現実に見ているときにたまたま思いついたものなんです。いろいろな物と戯れているのが好きなのですが、2つのものが面白い形で相互に作用したときに自然とアイデアが出てきます。
--作品が出来るまでの行程を教えてください。
私のプロセスの大部分はアイデア出しです。紙に走り書きをしたらすぐに材料を買いに走ります。アシスタントにヘルプしてもらい、素材をアートの形へとトランスフォームさせて行きます。それから写真撮影を行い、作品はデジタル化されます。
-ハンドメイドの作品が多いですが、ポスター作品ではCG合成なども多用しますか?
私はちょっとしたリタッチやフィニッシュを行うときのみCGを使用します。不要な要素を取り除いたり、色彩やコントラストを強めたりと満足の行く仕上がりにするために使用することが多いです。
--あなたの作品には沢山の食べ物や日用品が登場しますが、あなたにとってどういった存在ですか?
さまざまな色と構成がある食べ物は大好きです。大抵、日常的なものや誰でも知っている素材を使うのが好きですね。私が使用する物 (素材) をよく知っているからこそ、アイデアを理解することが出来ると思います。
--オリジナル作品とクライアントワークには表現や考え方に違いはありますか?
自由度があるないの理由で、私のクライアントワークは常により能力が試されるものになっています。クライアントのプロジェクトでは自由が制限されていますし、素早くアウトプットが出来るように誘導されています。終了時により満足に思えるのは、作品の寿命も長いということで自分のオリジナル作品です。例えば、誰かが壁に写真を飾ろうと決断したとき、彼らは毎日それと共に生活しなければいけないのです。そういう考えが好きです。
--インスピレーションの源はどこから?
毎日の体験からインスピレーションを得ています。スーパーマーケット、公共の交通機関などで出くわす面白い物を沢山写真に撮っているのですが、こういった物がプロジェクトのアイデアに繋がることが多いです。見慣れない物に囲まれて、まるで子供のように好奇心を持って無邪気になる旅行は常に刺激的です。ファイン・アートからも沢山のインスピレーションを得ています。ギャラリーやアート・フェアに行くのも大好きです。
--拠点であるベルリンはクリエイティブにどのような影響がありますか?
街としてのベルリンはそれほど刺激的ではありませんが、何が面白いかというとベルリンにいる人です。ひとつの場所に多くのクリエイティブな人たちが住み、アイデアやビジョンをシェアしています。
--好きなアーティストやデザイナーはいますか?
チャーリー・チャップリンやジャック・タチ、ロリオといったスラップスティック・コメディ (どたばた喜劇) の映画監督が結構好きです。また、私はペーター・フィシュリ&ダヴィッド・ヴァイス、ガブリエル・オロスコ、アーウィン・ワームといった美術家好きでもあります。作品にユーモアを取り入れたアーティストが好きですね。
--好きな休日の過ごし方を教えてください。
休日は自然な場所に行くのが好きです。張り詰めた制作作業に必要なエネルギーを取り戻すことが出来るし、頭の中をクリアにしてくれますね。
--女性アーティストとして制作スタイルにこだわりはありますか?
私のスタイルで女性的になることは私にとって重要ではありません。私はコントラストと驚きが好きなんです。私は女性であることを過度に期待される作品を作りたくはありません。
--また、ママになって表現に変化はありましたか?
母親になってすぐの時期は、すべてがバラ色でぼやけていました。私の頭の中はアイスクリームのようにソフトでしたね。今はかなり平常に戻りました。
--来日して制作したポップコーンの誕生秘話を教えてください。
ポップコーンのインスタレーションは、レストラン用品が沢山売られている合羽橋を歩いているときに思いつきました。包装用品が沢山売られているお店に立ち寄った時に見つけたストライプのポップコーンボックスがアイデアをくれたんです。美穂さん (木之村氏) は本来のショーケースとしてグラスケースを使って欲しかったのだと思いますが、ケースの大きさがポップコーンマシーンに似ていたんです。簡易化した折り紙バージョンのポップコーンで、箱を埋めつくしました。
--今回の来日で京都まで足を伸ばされましたが、日本で一番お気に入りの場所はどこでしたか?
東京の多様性をとても楽しみました。日本をもっと知るために時間が必要だったと感じました。
--また気になったカルチャーやファッションはありましたか?
日本は素晴らしい食文化があり、私も楽しみました。大抵、日本の文化はすべてとても面白く、私にとっては初めてのことばかりでした。
--今後のプロジェクトについて教えて下さい。
とてもグラフィカルな家具の作品シリーズに取り組んでいるところです。
--これから作品を鑑賞する人々にメッセージをお願いします。
常にいつでも2度見ること!